エチオピアはキリスト教(エチオピア正教)とイスラム教、ふたつの異なる宗教が争うことなく共存する平和な国です。夜明けとともにモスクからはアザーンが流れ、しばらくすると教会の拡声器から司教の説教が流れ出ます。第7章では、日々の暮らしの中にある人びとと信仰の関わりを描いてみました。

1.神に繋がる音。教会の祝祭に欠かせないバガナは、背の高いエチオピアのハープです。指で弾くとコントラバスよりも更に野太い音がボーンボーンと響き渡ります。

2.日本にお百度参りがあるように、何か願掛けがあると、エチオピアに人びとは、教会に出掛け、杖に身体を預けたまま何時間でも祈りを捧げます。彼女は、いったい何を祈っているのでしょう。

3.教会で挨拶を交わす女性たち。日本にエチオピア正教の教会はありませんが、在日エチオピア人の信徒たちは、隔週日曜日に地域の公民館に集い、礼拝を行っています。教会は、社会的立場や老若男女に依らず全ての人が平等に集える唯一の場所。ここで交わす挨拶には特別な意味があるように感じます。

4.ハラル地方の伝統衣装を身に包む少女。エチオピア東部はアラビア半島に近く、イスラームを信仰する人びとが多く暮らしています。特に要塞都市ハラルは城壁の中におびたたしい数のモスクがひしめき合い、メッカ・メディナ・エルサレムに次ぐ第四の聖地とまで言われています。

5.買い物した荷物を頭上のカゴに乗せ、細い路地を行き交うハラルの女性たち。